束で火を点けたお線香が、振っても消しても再燃してメラメラと炎をあげた。おかげで両手のひらを火傷してしまった。
「それ、故人が喜んでいるらしいよ」
と言われたけど、調べても確かな根拠は出てこない。
だけど、あんなに勢いよく燃え上がったことと、その場にその知識を持ってる人間が居合わせたということで、やっぱそういうサインと受け取ることにした。
出発した時には涼しく感じて、空もすっかり秋のようだったけど、墓地にいる間だけ真夏が戻ってきたみたいだった。
日差しが肌を直撃し、視界を白飛びさせた。蝉が鳴いていた。
風が少しだけ気持ちよかった。
なんとなく離れがたい気持ちがしたのは、私だけではなかったと思う。
道中、河川敷で野球する少年の姿が見えてカメラを構えると、めちゃくちゃ綺麗な空がモニタを埋めつくしていた。
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