電車に乗ってすぐ、霞の向こうに空と同化しかかったスカイツリーが見えると、いつもとはちがう世界線に来てしまったんじゃないかという気持ちになる。
たまに乗る、行き先の違う路線は、近さの割にはわくわくする。まだそんなに見慣れてもいない景色。
東京の街を走っている感じがする。
「東京」に住んでいても、ホームになってしまうとあまり「東京」感はない。「東京」感ってなんだ、っていう話だけど。
私にとっては、よその人が暮らす街、という感じかなあ。
脳にとっては、少し間合いがあるくらいがスムーズなようだ。慣れない街の独特の感触。
近くなって粒度が意識されるともう、どう転んでも違和感は避けられなくなる。
自分の名前を口にする時のあのなんとも言えない感覚と似ている。
違和感や、一種の不快感は、自分の内面の歩き方を教えてくれもする。
ごく近くなった誰かとの旅も。
親しみとは、そういう粒度を共有することなのかもしれない。
この日のスカイツリー写真を撮れなかったことが悔やまれる。
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